言い換え表現

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まず、例文を挙げる。

 

①自由に考え、自由にものを言う。②そんな当たり前の行為が、不当に制限されることがあってはならない――。③社説でも折にふれ主張してきたことだが、民主主義の基盤を傷つける出来事が、最近も相次いでいる。

 

④京都府南丹市は昨年11月、精神科医・香山リカさんの講演会を中止した。⑤講演を妨害するような電話や、政治団体による街頭宣伝の予告が届いたためだ。

⑥(中略)露骨な嫌がらせに市は毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしかった。

2019年4月11日 朝日新聞社説(https://www.asahi.com/articles/DA3S13973459.html?ref=opinion)

 

言い換え表現はよく使われる。たとえば、上の文では①の文を②の「そんな当たり前の行為」だと言い換えている。間接的には、②の「不当に制限されること」が③の「民主主義の基盤を傷つける出来事」に言い換えられ、また⑤の「講演を妨害するような電話」は⑥の「露骨な嫌がらせ」に言い換えられている。

言い換え表現は、もちろんイコールで結びつけられる。全く同じ言葉を使うと文章の見栄えが悪くなるため、あれこれ思索して違う言葉を筆者は使うが、論理的には言っていることは同じで、イコールの関係で結びつけられる。ただし、それを見極めるには、文章または段落の関係から読み取らなければはっきりしないことも多い。上の朝日新聞の社説はわかりやすいが、込み入った文章だと一見するだけではわからない可能性もある。

しかし、基本的な読み方としては同じである。つまり、その言葉がどの方向で、どの性質をもって論じられているか。それを考えることで、言い換えられている表現を見つけ出す。たとえば、プラスならプラスの方向で、マイナスならマイナスの方向で使われている言葉を見つける。それだけである。

言い換え表現の見つけ方は単純であるが、単純であるからこそ意識して読むべきである。他に、言い換え表現の例を挙げる。

 

赤とオレンジ色の明るい輪の中に広がる黒い闇――。人類が初めて目にしたブラックホールは、科学者たちが断片的な情報から想像していた姿と、ほぼ一致するものだった。

(中略)ヒッグス粒子の発見や重力波の観測など、近年ノーベル物理学賞を受けた研究は、国境を超えた連携の上に成り立つものが目につく。こうした国際協調は世界の平和の実現にも資する。

2019年4月13日 朝日新聞社説(https://www.asahi.com/articles/DA3S13976433.html?iref=editorial_backnumber)

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