日本とアメリカの履歴書
日本とアメリカの履歴書の違いを見た。日本では合法になっていて、アメリカでは禁止とされているものにはどのようなものがあるのか、また共通しているものは何かなど気になったからである。
共通しているもの・違うもの
日本とアメリカで共通している項目としては、「学歴、職歴、連絡先、住所、趣味・特技」が挙がっていた。その一方で、「年齢、性別、顔写真、結婚歴、子供の有無、家族構成」が書いてはいけない項目として掲げられていた(参考:「日本VSアメリカ:履歴書の違い編 | アメリカ留学UKIの節約生活」https://uki-studyabroad.com/japanvsusa-resume/)。
これを見ると、「日本もアメリカも学歴が大事なんだな。やっぱり学歴がすべてなのか」と思ってしまうかもしれない。しかし、その意味する内容としては両国では異なってくるため、表面的には見ない方がいいだろう。
履歴書で求められる学歴
つまり、日本とアメリカでは学歴に求めるものが違ってくるのである。日本で意味する学歴というのは潜在能力のことを指し、アメリカで求められる学歴というのは職務に必要な能力を指す。
日本での学歴
潜在能力とは何か。簡単にいえば、企業が求める期待値のことを指す。これくらいの大学を卒業していたら、これくらいのことはできるだろうという見込みの能力である。とにかく個人のがんばりが強調されるため、大学で学んだ内容はさほど重視されない。
アメリカでの学歴
それに対して、職務に必要な能力とは何か。それは仕事をするのに必要なスキルのことを指す。たとえば、ITエンジニアを目指している場合、プログラミングやOS、ネットワークの知識が必要になる。これらを大学で学んでいることが前提となるため、大学で学んだ内容が重視される。
こういった違いがあるため、日本とアメリカの学歴は似ているようで、実は違ってくるのである。
日本の採用事情
そうかといって、日本でも大学で学んだ内容は重視されるのではないかという批判はくるかもしれない。たしかに一部の学部、たとえば医者や看護師の場合は学校で学んだことが仕事に直結してくるのは事実だが、それ以外のプログラマなどの場合は他学部出身がむしろ求められたりする。
とあるプログラマの求人広告では学歴不問と書いてあるし、またとある求人では経営学部や人文学部といった全く関係のない学部でも応募可と書いてある。つまり、大学で学んだ内容は全否定という形で、求人がなされるのである。
アメリカの採用事情
これはアメリカだとそうはいかないだろう。他学部で学んだ内容ではなく、情報系の学部で学んだ内容が重視されるはずだからである。何よりも業界未経験はおろか、学んだことない人間に一から教えることはコストパフォーマンス的に悪いのも理由の一つとしてはある。
こういった事情があるため、日本とアメリカの指す学歴は違うものとしてみるべきである。
アメリカで禁止されているもの
また、「年齢、性別、顔写真、結婚歴、子供の有無、家族構成」はアメリカでは禁止されていると書いたが、これも表面的にとらえては誤解してしまう項目である。
人権意識が反映されている
一目見ただけでは、「実力主義のアメリカなんだから年齢も性別も関係ない。自由の国だ」と思ってしまうかもしれない。しかし、実際の理由としては人権意識からきているのだろう。
人権とは誰にでも与えられる平等の権利を意味する。それを阻害する役割が差別である。したがって、年齢や性別で職業が制限されるのは差別にあたる。顔写真や結婚についても同様で、顔で採用の有無を決定してはならないし、結婚の有無によってもなされる仕事が制限されてはならないのである。
とにかく、人種のるつぼと言われるほどのアメリカではこういった人権に対する意識が発展しているため、差別にかかわるものは厳しく制限されている。
日本での人権意識
それに対して、日本ではこういった人権意識がまだ発達していない社会である。憲法では人権の記述が書いてあるのにも関わらず、年齢で差別されたり、性別によっても意図的に不採用にされてしまう場合が多数ある。
日本での人権は歴史がまだ浅いというのも原因としてはあるが、履歴書にはこういった人権意識が反映されるには相当の時間が必要であろう。
まとめ
まとめると、日本とアメリカとでは履歴書に違いがあって、それは文化からではなく、仕事や人権意識からそうなるものであると判断できる。
学歴といっても日本では人間性重視でアメリカでは能力重視である。そして、人権意識もアメリカではとくに重視される。
こういった日米間で違いがあるためそれぞれの国で就活を行う際には注意が必要であるが、日本でも人権意識が履歴書に反映されるようになる時代がくることを切に願う。
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