社会人のための国語力

勉強法
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国語力の意味

国語力に対する一般的な認識

国語はすべての教科の基礎をなすものである。このことは社会人であればもちろん、誰でも認識していると思うが、表面的ではなくそれを掘り下げて理解している人は教師も含めて意外にも少ない。一般的な認識では、国語力は正確に文章を読み取り、それを表現する技術だと思われている。それは間違ってはいない。

うわべだけの理解だけでは不十分

しかし、それだけでは不十分である。読み取るとは一体どういうことなのか、またそれを表現するということはどういうことなのか、うわべだけの理解ではわからないからである。これらの意味は次のように表すことができる。

国語力は論理的な力である

伝える側の国語力

つまり、国語力は論理的な力を表す。具体的には、言いたいことを伝える力、それを読み取る力を意味する。まず、主張があり、それを支える根拠がある。そして、主張と根拠はセットになっており、それらを接続詞によってつなげる。それを相手に伝わるように言葉を選び、論理構成を考える。言葉を選ぶというのは何も巧みな言葉遣いをするという意味ではない。相手が理解できる言葉、しかもイメージしやすい言葉を選ぶのである。論理構成については、言いたいことが整理されていることを意味する。つまり、国語力によって相手に伝わるよう文章の体裁を整える。

読み取る側の国語力

それに対して、読み取る側の国語力はこうである。作成された文章を読み取り、言葉のつながりをみていく。どの主張が言いたいことなのか、どの主張とどの主張が比較されているのか、書き手の言いたいことを理解する。ただし、ただ理解するだけではなく、書き手の持っている背景、暗黙の了解と呼べるものにも気を配る。

国語力はコミュニケーション力である

まとめると、国語力は書き手にとっては相手が理解しやすく、読み手にとってはそれを理解する力、そういった相互理解のことを指す。それらはコミュニケーションによって可能になるが、この能力が高い人が国語力のある人と言っても良いだろう。国語力はコミュニケーション力である。

平成の社会人

国語力に対する認識

しかし、特に平成の中期あたりまでの社会人は、このような相互対話のための国語力を教えられてこなかった。そのため、単に読みとるための意味やボキャブラリーの意味でしか国語力を理解していないように思われる。これは教師の怠慢もあるだろう。

国語力に対するプライドは捨てること

とりあえず、国語力に対する誤解を振り払い、もう一度捉え直す必要がある。これは社会人であるというプライドが邪魔するかもしれないが、逆に社会人であるからこそ勉強しなおさなければならないことでもある。学生であれば課程の関係で当たり前だと思われるかもしれない。しかし、そういった自尊はいったんおさめておいて、再度勉強をスタートすることを考えたほうがいい。苦手意識があればなおさらであろう。

社会人の勉強法

教科書を眺めるだけではいけない

では、国語力というもの、とくに社会人はどのように勉強するべきだろうか。学生はともかく、社会人になると時間が限られるため、何をどのように取り組んだらいいのかわからないかもしれない。学生でも受験用の教科書を眺めるだけではわからないだろう。苦手意識をもっていればなおさらである。

勉強法はシンプルである

おすすめの本

しかし、勉強法はシンプルである。以下の2冊を取り組むだけで飛躍的に国語力は上昇する。これらの参考書は同じ野矢茂樹さんが書いたものであるが、文章を読み取るのに必要な事柄をすべて網羅している。宣伝のように聞こえてしまうかもしれないが、初心者にもやさしい言葉で語りかけており、具体的であるため、高い確率で上昇するだろう。

本の内容

本の内容についてはこうである。「大人のための国語ゼミ」では要約の方法から接続詞の読み取り方まで、従来の参考書では教えてくれなかったものを具体的に、わかりやすく説明してくれている。要約の方法については、とくに目が鱗かもしれない。「論理トレーニング101題」では、「大人のための国語ゼミ」の本で扱った接続詞についてより掘り下げて説明している。問題数としては101題であるため、1周するには時間がかかるかもしれない。しかし、これらの参考書に取り組むだけで国語力はあがる。

具体的な取り組み方

上記2冊を取り組むだけで国語力が上がると言った。しかし、単にこなすだけでいいのかという質問がくるかもしれない。そもそも、国語力に苦手意識を持っている人、もしくは、学生のときにそもそも勉強自体していなかった人については、やり方がわからない人もいる。それを考えると、確かに「ただやれ」というのは無責任な感じはする。

具体的なやり方はこうである。

  1. 1周目はひたすら問題を解く。
  2. 間違えたところはばってんをつけたりしてチェックする。
  3. 以上のことをできれば早めにやる。
  4. 2周目は間違えたところを中心に解く。
  5. 再び間違えたらチェックをする。
  6. 以下、繰り返し。
  7. 以上を間違えがなくなるまでこなす。

以上の手順を機械的にこなすこと。それに尽きる。

さらに勉強したい人

以上の2冊を国語力の基礎については十分であるが、より実践的に身に付けたい人もいるだろう。そういった人については以下の本をおすすめする。

いずれも受験用教材である。「現代文キーワード読解」は大学受験用、「社会人入試の小論文」は大学院受験用といったところである。

現代文キーワード読解

「現代文キーワード読解」は要約する力を鍛える。野矢茂樹さんが書いた本でも十分な効果を期待できるが、さらに要約する力を鍛えたい人はこの本が有効である。例文の数も多いことも魅力的である。この本はまず例文があり、それに対する要約が例文の下に書かれてある。したがって、やり方はこうである。まず、自分で例文の要約をし、それが解説とあっているかどうかをみる。その繰り返しによって、自分が本当に読解できているかどうかを確認する。左の語彙の解説は特に興味がなければ読む必要はない。

社会人入試の小論文

「社会人入試の小論文」は書く力を鍛える。本のタイトルの通り、小論文の書き方指南の本であるが、その他の書く力を底上げしてくれる。ブログやツイッター、また作文などで自分の意見を書く場合に活かせるだろう。また、自分の人文・社会系の知識も身につけることができる。やり方は前項であげた「取り組み方」と一緒である。この本をやり遂げることで、伝える力を強化することができる。

まとめ

社会人のための国語力をテーマとして、国語力の意味からその鍛え方まで取り上げた。国語力はコミュニケーション力であり、相手が理解しやすいように、また相手の言っていることを理解するための力であることを説明した。その鍛え方は、野矢茂樹さんが書いた「大人のための国語ゼミ」「論理トレーニング」をやることだと述べた。さらに余力がある人は「現代文キーワード読解」「社会人入試のための国語力」を取り組むべきだと説明した。これらの本をやることで国語力は上昇し、これからの世の中に役立てることができるだろう。今までの文学偏重の国語ではなく、コミュニケーションとしての国語を社会が目指すことを望む。

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