よく要約する際には必要なものは残すように言われるが、具体的にはどのようなものが必要で、どのようなものが不要なのかわからない。私もできる方ではないので悩むことが多々ある。しかし、取捨選択する際の基準というものは確かに存在する。それを以下に紹介する。
要約で必要なもの
要約で必要なものは以下のものがある。
1.筆者の主張
2.主張に対する根拠
まず、何か話題にしたいテーマがあって、それに対する主張を述べる。主張にはそれを支えるための根拠が存在する。根拠がなければ思い込みになるからである。したがって、主張+根拠が筆者の言いたいことになるため、要約する際にはこの2つを抑えることが要になる。また、主張は繰り返し述べられることが多い。たとえば、以下の文がある。
人間は人間として尊敬を受くべきだ。彼は屍になっても人間である。敬礼を受くべきである。日本では殺人者の屍も、彼が往来を遂ぐれば礼拝をする。すべて人間は生きて居る中から礼拝を受くべきものだ。
「日本語読解・要約法」p204
この文では根拠は書かれていないが、筆者の主張は読み取れる。つまり、「すべての人間は生きているうちから尊敬を受けるべきだ」というのが中心的な主張である。文中で「敬礼を受けるべき」「礼拝を受けるべき」という類似の言葉を使って、繰り返し同じことを述べている。同じことを繰り返し使うというのはわかりにくいことをわかりやすく理解させるばかりではない。自分の言いたいことを言葉をかえて強調したいときにも使われる。次に、要約において省略できるものにうつる。
要約で省略できるもの
要約する際に省略できるものは挙げるとキリがないが、ざっと以下のものが思い浮かぶ。
1.具体例
2.補足説明
3.修飾語
4.比喩
5.解説
具体例はわかりやすく読者にイメージさせるために使われるため、省略できる。補足説明もおまけ程度の扱いであるから、これもカットできる。修飾語はカットしたくないほどかっこいい言葉もあるが、我慢してカットする。比喩も一見大事そうにみえるが、言葉を飾る以上の効果はない。そのため、原則としてカットする。
5の解説はわかりにくいかもしれない。要約においては繰り返し使われる言葉は重要であるため、厳密にはカットと呼ぶにはふさわしくないのかもしれない。実際の要約をする際には、繰り返し使われる言葉の中から適切な言葉を選んだり、自分で言い換えるなどするからである。つまり、使うべきところは使って、切り捨てるところは切り捨てるのが解説の箇所なのである。
まとめ
以上、簡単にであるが、要約の方法を紹介した。要約に必要なものは主張+根拠であり、具体例や補足説明などは省略していくことで、要約がしやすくなることを述べた。一見するとごくごくありふれたものであるが、いつか時間のあるときにでも実例を交えながら説明していきたい。
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