プログラミングとPhotoshop
プログラミングならプログラミング、PhotoshopならPhotoshopと独立に学ぶ人は多い。プログラマやデザイナーなどといった特定の職業を目指すのであれば当然そうなるのも無理はない。しかし、一方のスキルを身につけてもう一方のスキル身につけないというのが多い気がする。食わず嫌いか、もしくは無関心か。
プログラミングならプログラミングのよさがあるし、PhotoshopならPhotoshopのよさがある。プログラミングでは解決できないことをPhotoshopがやってくれるし、その逆にPhotoshopができないことをプログラミングがおぎなってくれる。プログラミングによってユーザが使いたいサービスを提供することができるし、Photoshopによってサービスのデザインをよく魅せることができる。用途は違えども、お互いのよさを出し合ってこそ、成果物の質はあがるのである。両者は補いあう性質を持っている。
しかしだからといって、両者の特徴は表面的にはわかったつもりであっても、実際に触ってみなければわからないことが多い。そこで、この記事ではプログラミングとPhotoshopの違いを紹介したいと思う。
学びやすさ
まず、プログラミングとPhotoshopの学習難易度である。プログラミングもPhotoshopも「習うより慣れろ」方式で習得していく。しかし、その入り口はプログラミングの方が難しい。Photoshopは使いたい機能があればアイコンにクリックすればそれができるが、プログラミングはそれを実現するためのロジックが必要になる。そのロジックは私たちが普段日常生活で考えているようなそれではなく、プログラミング独自の思考法で考えなければならないことであって敷居を高くしている。プログラミングで実現するためには、プログラミングに合う思考法を身につけなければならないということである。
その点、Photoshopはそういった概念は必要なく、写真の加工・デザインを実現するためのツールを使えば実現することができる。お絵かきアプリなど使った経験がある人ならば、習得しやすいだろう。ただし、Photoshopは機能が多彩であるため、それらを使いこなすための労力と時間が必要になる。ショートカットも作業時間の削減のために積極的に覚えなければならない。
まとめると、プログラミングは覚える量が少ない分考える時間が必要になり、Photoshopは考える時間が少ない分覚える量は多くなるということである。厳密にはプログラミングも覚えることが少ないわけではないが、Photoshopと比べると少ない方であろう。
センス
次にセンスである。Photoshopを触るからにはもちろんセンスが必要であることはわかると思われるが、プログラミングもセンスは必要である。ただし、それらはセンスの意味合いが異なる。
Photoshopは形の見えないセンスで、プログラミングは形の見えるセンスである。言い換えれば、定性的であるか、定量的であるかの違いといったところである。
定性的というのは、一般的には美的センスである。それに対して、定量的というのは数字に表せるもの、つまり論理的なセンスである。プログラミングは数字で表せられるセンスであるため、努力でなんとかカバーできる。それに対して、Photoshopは数字で表せられないため、センスを努力で埋められないことがある。つまり、曖昧な要素が多い。
したがって、Photoshopもプログラミングも、それ自体を捉えるにはセンスの違いに注目してみる必要がある。
達成感
最後に、達成感である。プログラミングをやってみて楽しいこと、Photoshopをやってて楽しいこと、そういったものに関する達成感である。
Photoshopは画像を加工することで自分の好みの写真を作ったり、クソコラなど誰かを笑わせる画像をつくることができる。それらはすぐに目に見える形で確認することができるため、自己満足感や誰かに喜んでもらえるという実感を感じることができる。
その一方、プログラミングでは画面以外の地味な機能を作ることがあるため、そういった実感は必ずしも感じることはできない。他者は目の見える箇所に意識が集中するので、たとえば「計算出力プログラムのここのロジックが斬新だ」といっても、喜んでもらえる人はいないだろう。つまり、自己満足に陥りやすいのである。また、プログラムを苦労して作っても誰かに褒められることはない。
このように、プログラミングとPhotoshopとでは成し遂げたときの達成感が違う。どちらも達成感のタイプが違うので一方が優れているものではないが、苦労が報われるのはPhotoshopに分があるだろう。
まとめ
以上、Photoshopとプログラミングについての違いを①学びやすさ②センス③達成感の観点から説明してみた。①Photoshopはプログラミングより学びやすく、②センスは定性的(Photoshop)か定量的(プログラミング)な違いがある。③そして、達成感はプログラミングだと自己満足に陥りやすいことを述べた。
こういった違いを意識しながらプログラミングとPhotoshopの両方を学んでみると、違った見方ができてくるかもしれない。
おまけ:Webデザイナーとプログラマの就活について
おまけとして、Webデザイナーとプログラマの就活の違いについて触れる。Webデザイナーはポートフォリオや成果物(=自分が作ったもの)を提出することが前提となっており、プログラマについてはスキルシートを提出することが前提となっている。スキルシートというのは職務経歴書のようなもので、自分が携わったシステムとそれに使用した言語を書き込む様式となっている。
このように、自分が仕事できることを採用担当者に見せることがWebデザイナとプログラマの共通点として考えられる。
しかし、プログラマについては一つのことができるだけでは足りなくて、たとえばプログラミング言語はJavaScriptだけではなく、RubyやPHPも新しく学んでいく必要がある。つまり、ずっと学び続ける姿勢が要求されるのである。Webデザイナーについてはそこまで詳しくはないが、センスを磨くことが要求されるのだろうか。いずれにしても、両者は就職するのが到達点ではなく、始まりのように感じられる。
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