報連相
報連相とは
報連相は仕事の基本だとよく言われる。「仕事の進捗状況の確認のために報告をし、他者と認識の共有のために連絡をする。そして、仕事をやっていてわからないこと、困ったことがあったら相談する」という具合である。
これらの3つのことをこなすことが社会人としての常識だと事細かく言われる。学校に在籍しているときから入社して数年の新人まで、小さい頃から大人になるまで報連相の基本を言われ続ける。もちろん仕事ができない場合はその期間は延長するかもしれないが、少なくとも周りから一人前として認められるまで報連相という存在はまとわりついてくる。
報連相には個人差がある
しかし、報連相ができるようになるまでには個人差がある。要領よく仕事になじめる人は入社初日からできると思われるし、そうではなく不器用な人はいつまで経っても報連相をこなすことはできないだろう。人によって報連相の上手・下手は異なってくるため、はじめから完璧を求めることは難しいように思われる。
報連相ができない原因
報連相の出来・不出来は学生のときにバイトを経験したかどうかも関係する可能性がある。しかし、そもそもの原因としてはその人が仕事ができるかどうかではなく、報連相の意味と仕事の関連性がイメージできていないのも理由としてはあるかもしれない。仕事が未経験でしかも誰かと共同作業を行なったことが少ない人であればなおさらである。
あらためていうと、報連相の意味は、前述した通り「報告・連絡・相談」である。その意味を実際の仕事と照らし合わせ、それがどのような場面で行われるべきか、またそれをするにはどのような条件が必要になるかを考えていなければ報連相をうまく活用することができない。
そこで、この記事では報連相の意味を改めて解釈し、仕事へ活用できるように説明してみることにする。参考になるものがあれば幸いである。
報連相の意味①:報告
報告とは
仕事の進捗状況や結果を伝えるときに行われるのが報告である。ここで、仕事の進捗状況とは自分の行った仕事がどこまで進んでいるか、終わるまでにどれくらい残っているか、そういった進行具合を指す。それを一緒に作業している人や上司などに正確に伝えるのが基本であるが、仕事の進捗状況をただ伝えるだけではそれは報告とは言えない。
報告は、何を伝えるかが大事
つまり、報告は仕事のどの部分をどのように伝えるかが重要である。そこで、自分の行っている仕事が何で、今やっているものはそのうちのどれを明らかにする必要があるのである。それは仕事のスケジュールにも関係するだろう。つまり、自分の今のスキルから残りこれくらいの作業が残っていれば、この時間内でできるといった目安を立てやすいからである。
雑に報告しない
逆にそれができなければ報告は間違った方向に向かってしまう。まだ残りの作業が残っているのに完成したと言ってしまったり、時間が足りないにも関わらずすぐにできると言ってしまう。こういった負の報告が起こってしまう。そういったことが起こらないようにするためにも、報告を雑にせず丁寧に行うのである。また、報告を行う際は何パーセントとか何割などというように定量的な表現を使って伝えること。
報告の手順
IT系の会社であればRedMineなどのタスク管理ツールを使って見える化できるが、そういったツールを使っていない会社は口頭で報告しなければならない。しかし、基本的な型はどこの会社でも変わらないので、以下の手順に従って行う。
1.仕事の内容を把握する。
2.1ができたら次は仕事の細分化を行う。細分化の方法は作業の単位ごとや区切りごとで行う。チェックリストなどを作っておくと把握しやすい。
3.上記の手順ができたら進捗状況を整理する。これもチェックリストがあれば把握しやすい。
4.報告する。例:「今、○○の仕事をやっていて、▼▼の進捗状況は□□%です。あと○○くらいの時間で完成できると思います」
以上が報告の手順である。しかし、一度報告して終わりというわけではなく、1日に1回、2日に1回などその都度報告するように心がける。これによって、相手の不安を和らげることができるし、進捗状況も誤解なく伝わるようになる。
報連相の意味②:連絡
連絡とは
連絡とは仕事に関わる人への連絡である。それは自分の主観ではなく、事実のみを誤解なく伝えることである。「この人からこの人への依頼があった」「この人は今日休みになる」など、伝言だけではなく、仕事の休みなどを伝える場合もこの意味になる。
連絡は、伝言ゲームではない
連絡は報告とは違って単純に伝えることの意味として捉えてしまいがちになるが、連絡もまた伝言ゲームではないことに注意をおかなければならない。
たとえば、電話で担当の人間が不在で誰かから言付けをもらったとしても、ただそれを受け取るだけでは十分ではない。自分の仕事に関係ないものとして考えるのではなく、言付けをする際にわからないところは聞いておくのである。もちろん、自分でできないことは無理にする必要はないが、できることはしておくとその人も助かる。
このように連絡は受動的に扱うものではなく、状況によっては能動的に行うことも求められるものである。連絡とは共同作業の一環として考えるべきである。
連絡の手順
報告にも手順があるように連絡にも手順があるが、ここで注意するべきは3である。口頭または文章によって伝え方が異なってくるからである。
1.メールや電話などで伝言を受け取る。
2.伝言の中でわからないところを聞く。
3.口頭か文章(orメールなど)で担当の人に伝える。ただし、口頭で伝える場合と文章で伝える場合は伝え方が違うため、以下の説明に従って伝える。
口頭で伝える場合
口頭で伝える場合は、結論から述べる。過程から伝えようとすると、一見論理的な説明に思ってしまうが、実際は何が言いたいのかわからなくなるし、話が脱線してしまう恐れがある。そのため、簡潔に述べるように心がける。
例:「○○さんから▼▼するように連絡がありました。ひとつ目は・・・。二つ目は・・・です。」
文章で伝える場合
メールやメモなどの文章で伝える場合も結論から述べ、相手に伝えやすい形で書く。
たとえば、口頭の場合の例文では「○○さんから▼▼するように連絡がありました。ひとつ目は・・・。二つ目は・・・」というような書き方は冗長であるため、箇条書きにする。
具体的には以下のようになる。
「○○さんから▼▼するように連絡がありました。
・▲▲▲すること
・□□□すること
です。・・・」
などのように書く。ただし、話し言葉をそのまま文章にするのはよくない。話し言葉と書き言葉とでは伝え方や聞き取り方が異なってくるため、それに応じた表現を使わなければならないからである。ここでは、自分で項目ごとにわけたり、箇条書きにするなどして伝わるように書くのである。
報連相の意味③:相談
相談とは
最後の3つ目は相談である。つまり、仕事をやっていてわからないことを聞いたり、話し合うことである。とくに入社して間もないころはわからないことがたくさんあると思うので、こまめに相談しておいた方がいいし、その方が会社にとっても望ましい。
一緒に考えたいものも相談のひとつ
また、相談はわからないことだけではなく、誰かと一緒に考えておきたい内容についても行う必要がある。仕事をしているとどうしても一人だけでは解決できないところがでてくるし、そういったときに誰かからのヒントをもらったり、またアドバイスをもらうことが必要だからである。相談によってわからないところを解消し、仕事を進めていく。できるだけ仕事をとめないようにするのが大事である。
相談の手順
相談の手順は以下のようになる。他の報連相よりも簡潔ではあるが、相談をしているどうかで仕事の効率は変わってくるため、その意味では他の報連相よりも重要なのかもしれない。
1.わからないところをメモする。この際、具体的にどこがわからないのか、またどこが疑問になって引っかかっているのかなど、紙などでメモしておく。
2.相談する相手(上司、部下、同僚)を決める。一番詳しい人に聞くのがベストだが、そうではない場合はそれに近しい人を選択する。
3.相談する。相談をする際は、相手の時間もあるので伝わるようになるべく簡潔に心がける。
いつ相談するか
仕事ではわからないところがあったらすぐに相談するように言われるが、その「すぐ」というタイミングは人によって異なっているとこともあり、混乱してしまう人もいるだろう。
たとえば、仕事を開始して30秒も経たないうちに相談されると「この人、本当に考えているの?」と思われてしまうかもしれないし、逆に3時間もすぎてから相談されても「いつまでこの仕事やっているの?遅い」と叱責を受けてしまう可能性がある。
こういったトラブルが起こらないようにするために、あらかじめ時間を設定しておくのが望ましい。仕事の内容によって異なってくるだろうが、多くても10分かけてわからなければ相談するのがいいのだろうか。適宜、調整してもらいたい。
まとめ
以上、報連相の意味をそれぞれの場合で述べ、手順を説明した。これが報連相のテクニックだとか、コツだといえるものではないが、基本にならってできるだけ詳しく書いたつもりであるので、参考にしていただければ幸いである。
また、報連相の説明を読んでいて気が付いた人がいるかもしれないが、報連相はまず相手ありきで、相手に伝えることを心がけている。したがって、相手に伝える方法ができていなければ報連相もうまくできない可能性がある。
したがって、「伝え方が苦手だな」とか、「書くのが苦手だ」と思っている人は、国語力を鍛えるべきだろう。細かくは書くことはできないが、以下の本を読んでいただければ幸いである。
「大人のための国語ゼミ」は報連相に必要なスキルを高めてくれる。つまり、読み取る力、書き取る力などを総合的に高めてくれる。また、疑問に思ったことの、つまり、疑問点の見つけ方も創造的に見てくれるため、おすすめである。
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