誤解されがちなエンジニアの意味ーエンジニアと工学ー

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エンジニアというと、技術者、つまり「モノを作る人」という認識が世間的にある。しかし、技術の意味を取り間違うと、誤解のもとになる。

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エンジニアとは

結論から言えば、エンジニアは工学の専門的な知識や技量を持った人のことを指す。具体的に言えば、専門の大学を卒業した人、もしくは専門の学部を卒業した人を指す。

したがって、「文系出身エンジニア」は言葉として間違った使い方をしていることになる。文学部出身の人が在学中に工学部と並行して授業を受けることはまず不可能であるし、工学部出身と同等の分野を履修していた、ましては「修めることができた」とは現実的にとても考えられないからである(単位的にもおそらく不可能だろう)。独学でとなるとなおさらだろう。

それでもエンジニアを名乗りたがる人たち

それでもエンジニアを名乗りたがる人がいる。Webサイト作成方法やプログラミング言語の「使い方」だけ覚えて、「エンジニアになりました」と言う。離散数学や工学倫理、その他多くの工学的な背景がないにも関わらず、「エンジニアになるためにはこれが必要だ」と語り出す人もでてきている。

恐らく「IT企業に就職=エンジニアになれる」と思い込んでいるからなのだろうか、彼らは言葉の意味を理解しないままで、エンジニア論を語っている。

専門的に学んでいない人は、テクニシャンである

しかし、前述した通り、専門の学校を出ていない人はエンジニアではない。医学を学んでいない人が医学を語ることができないように、工学を学んでいない人がエンジニアを語ることはできないからである。

それらは専門領域があってこそなせることである。もちろん、Webやプログラミングの知識は専門の学部を出た人よりある可能性もなきにしもあらずだが、工学という全体的な観点からいえばやはりエンジニアと呼ぶには相応しくないだろう。名乗るだけであればいくらでもできるが、実質的には別物である。

では、彼らはどういった呼び方が適切なのだろうか。工学部の知識を全体的に学んだ人と違って、彼らは一部の知識のみ所有している状態である。

海外ではこのような人をテクニシャンと呼ぶらしい。それをもとにして考えるなら、彼らはエンジニアではなく、テクニシャンと呼ぶ方が意味としては近いのではないだろうか。

テクニシャンは工学の背景をもたない。つまりコンピュータに対する抽象的な知識・思考を持ち合わせておらず、ただひたすらに使うことを主とする存在であるからである。

何もエンジニアが偉いことを言いたいわけではない。ただ、最近は専門的に学んでいるわけでもないのに、さも専門家のように振る舞う人がいるため、危惧して書いたまでである。

 

 

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