子どものための国語力

国語
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以前にも同じようなのを書いたが・・・

社会人向けの説明

以前、社会人のための国語力でも国語力の意味を説明したが、これは社会人向けに解説したものであったため、小学生や中学生、高校生には伝わりにくかったかもしれない。したがって、学生にもわかるようにするにはどういった説明がふさわしいのか考えてみた。社会人向けの説明だと、国語力とはコミュニケーション力のことで、伝える力と読み取る力を組み合わせたものであった。

子どもには違う説明が必要

しかし、小学生や中学生にそれがわかるように説明するのもなかなか難しい。大人の立場であればこれくらい書けば伝わるだろうと思っていることが子どもには分かってもらえないことが多いからである。大人向けの意味を子どもにそのまま流用するわけにもいかない。

未だ曖昧な説明が蔓延している

しかし、国語力に関する既存のサイトがどれもありきたりな説明で漠然としており、しかも有益なものとなるサイトがないというのもなんだか悔しい気がする。いまだに「新聞を読みましょう」「小説を読みましょう」「5W1Hを意識しましょう」というステレオタイプのやり方で紹介しているサイトが上位に入っている。厳しい言い方をすれば、これらは思考の放棄であろう。具体的な解決策が思い浮かばないので、とりあえず曖昧にやれと言っているようなものである。小説をいくら読んでも小説の回答率は上がるわけでもないし、5W1Hを意識しても作文ができるようにはならない。

具体的でなければならない

勉強のできない子どもが求めているのはそのようなものではない。私たちのような大人でも曖昧な解決策を提示されては納得できないものがあるだろう。どんなにバカにされようが、具体的な方法論が必要なのである。プログラミングばかりに目がいって肝心の国語力がままならなければ、今後の未来は暗いだろう。

理解しておけば様々な場面で役に立つ

国語力を説明するのは確かに難しい。一言で語るにはあまりにも多くを含んでいるからである。一言では説明できないほど内容が豊富なので、もしかすると本一冊分できるかもしれない。しかし、それでもある。この国語力というものを正確に認識しておかなければ、あらゆるところで苦労がつきまとってしまうのは目に見えてる。逆に理解しておきさえすれば、様々な場面で役に立つことは間違いないことだろう。それはとくに若ければ若いほど修正がきく。もちろん、子どもだけではなく大人でもある。学歴が低くてもなんら恥じることはない。国語力はそれだけ重要なものである。

学生に教える国語力

では、小学生や中学生に教える国語力というものはなんだろうか。とくに小学生に説明する際は以下のような定義になるのではないだろうか。

  1. 質問する力
  2. まとめる力
  3. つたえる力

これら3つの力のことを指す。以下、順番に説明する。

国語力①:質問する力

やみくもに質問するのではない

一つ目は、質問する力である。よく学校の授業などで「なにか質問はありませんか?」と先生が聞くことがあるだろう。それである。疑問が不明な点があればそれを聞く力である。ただ単純に聞くだけであるが、質問を作り出すことによって国語力を向上させることができる。ただし、ただやみくもに質問するのではない。質問にも種類があり、それらを考慮した上で質問を作り出すのである。

質問は2種類ある

国語力に結びつく質問は2種類ある。

  1. 言葉の意味に関する問い
  2. 内容に関する問い

これら2つである。ボキャブラリーに関する問いはその言葉の意味がわからなければ聞くことであり、内容に関する問いはその人の言っている内容が分からなければ聞くことである。

言葉の意味、内容に関する問い

言葉の意味はその人が独自でつかっている意味もあるので注意が必要である。内容に関する問いは、具体的には理由と主張が噛み合わなかったり、全体的に言っている意味がわからなければ聞く問いである。論理に関する問いと形容しても差し支えはない。いずれも国語力を伸ばすには欠かせない力である。大前提として国語力は質問する力でもある。したがって、曖昧な理解なままであると、国語力は上がらない。わからないところはわからないものとして聞くこと。これが国語力である。

国語力②:まとめる力

大切なことをみつける

まとめる力は、その人の言いたいことをまとめる力である。つまり、何が言いたいのか要点を理解し、それを要約する力である。これが一番難しいのであるが、大切なことを見つける作業といってもいいだろう。このまとめる力は、文章同士のつながりをみながらどれが正しいのかを見つけ出していく。

コミュニケーションが成立しない

このことはなぜ大事か?その一つの理由は、本人の言いたいことが分からなければ、コミュニケーションが成立しないからである。相手の言い分を理解してはじめて自分の意見を言える。したがって、相手の言っていることを理解せずにモノを言うと、「話の噛み合わない」事態が発生する。たとえば、「私はA子が好きだ」と言っているのに、遊びに行きたいと解釈され、「A子は遊びに行ってるよ」と返事をされれば反応に困るだろう。国語力はコミュニケーション力でもあるのである。

国語力③:つたえる力

わかりやすくつたえる

つたえる力は、理解したことをわかりやすくつたえる力である。それは他人の主張の場合もあれば自分の意見をつたえる場合もある。とにかく、相手がそれを理解できるように、言葉をかみくだいて説明することである。多少、冗長でもかまわない。変に格好つけて説明を省略するのではなく、相手の理解度に合わせて、背景を考慮しながらわかりやすくつたえるのである。

自分に対しても有効

それは相手に対してだけではなく、自分に対しても有効なスキルである。自分が書いた資料を見返す場合、それがわかりにくいものであれば、せっかく作った資料の意味がなくなるだろう。自分がそのことを理解していなければ人につたえることはできないし、理解したと思っていても相手にとってはよくわからない場合もある。それこそ先述した「まとめる力」や「質問する力」が活きてくる。質問する力で自問自答をし、場合によっては掘り下げた質問をする。そして、曖昧な理解をなくした上でまとめる力で要約するのである。これを人にわかりやすく伝わるように説明するのである。

むずかしい言葉は不要

わざとむずかしい言葉を多用した場合も同様である。むずかしい言葉を書いても満足するのは自分だけであり、相手にはそれが伝わらないことはよく理解した方がいいだろう。多少バカにされても、誰にでもわかるようにやさしい言葉を使うことである。

3つの国語力は相関する

以上、国語力を①質問する力②まとめる力③つたえる力として説明した。しかし、これらは独立した概念ではなく、お互いに相関するものとして成り立っている。質問する力でわからないことを明らかにする。次にまとめる力でそれを理解する。そして、つたえる力はそれをつたえること。このループによって国語力は活きてくる。では、これらの国語力をつけるにはどうしたらいいのだろうか。まず、身近なことでできることを考えてみる。

質問する力を伸ばすには:身近な例

質問する力を伸ばすのに使える題材は、新聞やネットのコラムからであろう。動画であれば、TEDあたりだろうか。ネットのコラムは雑な記事も多いため取捨選択する必要があるかもしれないが、いずれにしてもこれらを読んで疑問点を洗い出していく。疑問が多ければ多いほどいいが、それらを箇条書きにしていくと効果的かもしれない。ただし、興味があるものもないものも平等に読んでいくと幅広く質問を作り出す力が身につくかもしれない。

まとめる力を伸ばすには:身近な例

まとめる力を伸ばすには、新聞の社説は適さない。これは新聞の社説が特定のバイアスにそって書かれていたり、文章の型にそって書いているとは限らないからである。新聞の社説はいわば個人の主観で書かれたものと変わらず、したがって思想が偏ってくる。そうではなく、まとめる力は言いたいことを導き出す力なのであるから、演説やプレゼンなどで要約していくといいかもしれない。これらは人に伝えるための主張などがはっきりしているからである。その折々で言いたいこと、つまり要点が、プレゼンに表示される。それをみて「ここで言いたいことはなにか」を考えるといいだろう。したがって、要点などをつかむ練習になる。

つたえる力を伸ばすには:身近な例

伝える力を伸ばすのは、つたえる相手がいることが大事である。それは友達でも親子でも構わない。とにかくこの力を伸ばすには相手がいることが必要になる。自分の伝え方のどの点がおかしいのか、どういった言い回しがわかりやすくて、どういった点がわかりにくいのか、など一人だけではわからないものが他人の視点を通してみえてくるからである。一人で練習している場合、気がつかないものがある。したがって、何かテーマを決めてそれについて語り、相手に悪いところを指摘してもらうのがよい。

ただし、日記やブログでは力を身につけることはできない。なぜなら、それは一方通行であり、誰かからのリアクションがないからである。たとえるなら、英作文をしてもいつまでも英語が書けるようにはならないように、国語も同様に書けるようにはならない。

本を使ってのトレーニングの場合

次に、本を使っての国語力の伸ばし方について考える。本といえばいきなり評論文なり小説なりに飛びつきたくなるであろうが、そうではない。国語力をつけるためにはれっきとした方法論があり、それらを駆使することで、国語力を伸ばすことができるのである。それらを参考書を使って学んでいく。

おすすめの入門書

まず、国語力をつけるために汎用的におすすめできる入門書を紹介しておきたい。この場合での汎用というのは、上で挙げた3つの国語力を総合的に上げることができる本のことを指す。この本をやることで3つの国語力の基礎力をあげることができるだろう。

「大人のための国語ゼミ」はそれだけよくできた本であり、小学生から社会人まで全年齢を通しておすすめできる本である。一部では国語の教科書として導入されている例もあるみたいだが、いずれにしても学校では教わらない、しかも日常生活でも応用できる国語力を身につけることができる。この入門書をこなしてから以下で紹介する各国語力のスキルを伸ばすことをおすすめする。この本は国語力のすべての力を底上げしてくれる。

※上の本が合わない場合は、以下の「ふくしま式の国語力」も検討してみることをおすすめする。

質問する力を伸ばすには:おすすめの参考書

次に、質問する力を伸ばす場合である。質問力で調べると色々と出てくるが、自己啓発要素が高いので、教育の意味を兼ねて購入するなら以下の本をおすすめする。

この本は質問作りについてそのメリットから具体的な方法論に関して詳しく解説してくれている。質問づくりを使った授業から実際の運用まで、教育者にとってもおすすめできる内容である。ハウツー本に手をだすつもりでいるならば、この本から読むことをおすすめする。

まとめる力を伸ばすには:おすすめの参考書

まとめる力は要約を日々行うことで得られるが、参考書には何があるだろうか。小学生向けの参考書としては、早瀬律子先生が書いた「読みテクトレーニング」がある。この参考書は本文の要約をさせ、次に回答として要約の解説をしている。キーワードや気をつけるべき点とか、詳しく説明しているため、「大人のための国語ゼミ」で養った要約する力を確実にしたい場合はうってつけの問題集となるだろう。

上の本が簡単と思う人は以下の参考書に取り掛かるのがいいだろうか。「現代文キーワード読解」は「読みテク」と同じように本文をどんどん要約していくのが、ただ違いといえば解説がないことであろう。もちろん、解答の要約はあるのだが、解答がないとできない人にとっては厳しいかもしれない。

上記2冊の本のいずれかが終われば、仕上げとして以下の参考書に取り掛かることをおすすめする。コンセプトとしては要約することで変わりがないので、上記で紹介した本を仕上げた人なら容易に理解できるだろう。

つたえる力を伸ばすには:おすすめの参考書

つたえる力を伸ばす参考書は、「吉岡のなるほど小論文講義10」がおすすめである。この本は伝え方の基礎から実際の意見の書き方まで会話形式で紹介してくれているため、頭に入りやすい構成になっている。また、要約についても扱っているため、相手の言っていることを要約し、どのように意見を出すかについてのやり方も学べる。SNSで議論の方法について学びたい人にもおすすめである。

上の参考書を終えた人は以下の本もおすすめである。

まとめ

以上、国語力の定義から、国語力の実際の伸ばし方まで実例をあげて紹介した。国語力は①質問する力②まとめる力③つたえる力から成り立っており、それらはお互いに関係し合っている。そして、それらは鍛えることが可能であることを身近な例およびおすすめの参考書を取り上げて紹介した。社会人向けの国語力ではなく、子どもの国語力の上げ方について焦点を絞ったつもりではあるため、やや本が受験向けであると思われるが、受験生向けの本はやらせが少なく質が高いため、紹介するにはうってつけだと判断した。

 

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